掌蹠多汗症~手のひらや足の裏だけ大量の汗をかく病気の原因と治療方法
掌蹠(しょうせき)とは手のひら足の裏と言う意味で、掌蹠多汗症は手のひらや足の裏に日常生活に不便を感じるほどの大量の汗をかく病気のことです。
毎日に支障が出くほどの汗は?
日常生活に不便を感じるほど大量の汗とは例えば、手のひらから汗のしずくがしたたり落ちるほど大量で、常にハンドタオルを持ち歩いて手を拭かなくてはいけない、書類やテストの答案用紙が破けてしまう、細かい作業はできないし靴下はぐっしょり濡れてしまい外で靴を脱ぐことがためらわれるといったほどの汗の量です。
幼少期に発症することが多く、折り紙が汗で湿ってうまく折れず破けてしまったり、鉄棒がすべって失敗したりと何かとつらい経験をする病気でもあります。
お友達と手をつなぐことも躊躇してしまうでしょう。
掌蹠多汗症になる理由
それではなぜ掌蹠多汗症になるのでしょう?
自律神経という言葉をみなさんご存じかと思います。
汗が出る仕組みには自律神経のうちの交感神経が関係しています。
交感神経は、運動したり緊張、興奮した状態の時に働きだし体に熱を作る神経です。
そしてもう一つの自律神経である副交感神経がその熱を全身に巡らす働きをします。
つまり掌蹠多汗症の人は交感神経が異常なまでに過敏でちょっとした緊張や興奮で汗が出てしまいます。
自律神経のコントロールが上手くできないことでおきる病気です。
難病に指定されている掌蹠多汗症には決定的な治療法や薬がありません。幼少期や思春期に発症するこの病気は大人になるにつれ症状が治まることが多く、そのため制汗剤(一時的に汗を抑える塗布剤)を使用しながらその時期を待つ人が大半のようです。
自律神経が影響した病気であることから、精神性発汗に効果がある漢方薬で興奮を鎮静させる改善方法もあります。
漢方薬は副作用がないと思われがちですがそれは全くの誤解です。
漢方薬を服用する際は必ず医師に相談し処方してもらってください。
また精神安定剤などを使用する薬物療法も有効だと考えられています。
多汗であることを苦痛に思うことでさらに汗がでてしまう悪循環を断つため、まずは汗をかかない精神状態を保つことが大切だからです。
外科手術がすすめられる事もある
手の多汗症に限り病院によっては外科手術を薦めるところもあります。
しかい多汗症の手術には100%後遺症が残ります。手術は手から汗が出なくなるよう神経を切断するものなのですが、手からでるハズだった汗は胸や脇といった手以外の場所からでるようになります。
そして汗の出なくなった手は異常なまでの乾燥でカピカピになりハンドクリームが手放せなくなってしまいます。
このことから掌蹠多汗症で多汗症の外科手術を受ける人は少ないようです。
掌蹠多汗症は発症すると長い付き合いになる難病指定の病気です。
周りの理解が大きな助けになるでしょう。